ふじみクリニック

清瀬 晩夏

2021.08.31

[清瀬市上清戸,2021年8月]
[清瀬市上清戸,2021年8月]

 8月最終日になりました。いよいよ夏も終わりです。
清瀬の夏と言えば,初夏にはトウモロコシ,盛夏にはひまわりでしょうか。

 昨年に引き続いて今年も「清瀬ひまわりフェスティバル」は中止になってしまいました。10万本を超える圧巻のひまわり畑には出会えずとも,駅からそう遠くない野菜畑のところどころに,今年もひまわりは開花しています。
さほど広くはない畑の一角に咲く小ぶりのひまわりたちですが,夏から秋に向かう青空の下,大空を見上げる向日葵の姿は,この季節出会わずに通り過ぎてしまうとしたら,どうにも寂しい気がします。ネットから引いた向日葵の花言葉は,「私はあなただけを見つめる」,「愛慕」,「崇拝」といったものだそうです。同じページに載っていた英語の花言葉は,「adoration(愛慕,崇拝)」「false riches(偽りの富)」(しかし「花言葉」って,だれがどういうふうに決めるんでしょう)。

 けれどもこの花を晴れた日と曇りの日に,あるいは篠突く雨の日に見たのでは,ずいぶんと印象が違うことは誰でも経験しているでしょう。上の写真のように,ポジティブな方の花言葉そのままに,力強く空に向かう姿が写真に撮られることが多いですが,下の写真ように酷暑に悶えて首を垂れ息絶え絶えの姿をさらすこともあります。

[下清戸のひまわり畑(石井ファーム),2012年8月]
[下清戸のひまわり畑(石井ファーム),2012年8月]

 ひまわりは一年草であり,開花した花は重く大柄の葉や茎は多量の水分を必要とします。必ずしも旱魃に強いわけではなく,大柄の品種ではとくに十分に補水しなければ種を宿す前に枯れてしまうことも珍しくありません。

 ひまわり(向日葵)という和名は、太陽の動きにつれてその方向を追うように花が回るといわれたことに由来するとされていますが,実はこの動きは生長期だけのものです。
 Wikipediaを参照すると,「若いヒマワリの茎の上部の葉は太陽に正対するように動き,朝には東を向いていたのが夕方には西を向く。日没後はまもなく起きあがり,夜明け前にはふたたび東に向く。この運動はつぼみをつける頃まで続くが,つぼみが大きくなり花が開く頃には生長が止まるため動かなくなる。その過程で日中の西への動きがだんだん小さくなるにもかかわらず夜間に東へ戻る動きは変わらないため,完全に開いた花は基本的に東を向いたままほとんど動かない。」「これは茎頂に一つだけ花をつける品種が遮るもののない日光を受けた場合のことであり,多数の花をつけるものや日光を遮るものがある場所では必ずしもこうはならない。」

 黄昏時に再び頭を持ち上げたひまわりの姿は,今日一日力を尽くした人々が帰路につく後ろ姿とどこか重なりはしないでしょうか。いつ果てるとも知れないコロナの嵐の日々ですが,朝の来ない夜はないと信じて,今できること,今日すべきことを一つ,また一つ取り組んでいきたいものです。

[同上,2014年8月]
[同上,2014年8月]