ふじみクリニック

眠りと健康(3)

2022.02.07

睡眠薬(=睡眠導入剤)について

「睡眠薬」と「睡眠導入剤」が違うものだと考えている人もいるようですが、医師が使う用語としては両者は同じものです。「睡眠薬」にはなんとなく怖いイメージがまだつきまとっており、「睡眠導入剤」はあくまで自然の睡眠を誘導する、より「軽い薬」だというイメージがあるのかもしれません。医療者は薬の処方にあたってより丁寧に、患者さんの不安のありようを推し量りつつ解説する必要がありますが、患者さんの方では、少しでも気になったことは遠慮なく医師に質問する姿勢が大切です。(何か質問しただけで不機嫌になるような医師にぶつかった場合には、別の医療機関に代えた方がよいかもしれません。)

「睡眠薬」は、「依存性があり、いったん服用したらやめられない」、とか「認知症発症を促進する」などという不確かな伝聞情報に基づく心配のために、それを「怖い薬」と考えてしまうのかもしれません。たしかに、医師と相談せずに自己判断で服用量を変えたり、複数の医療機関から重複して処方してもらったり、あるいは外国から並行輸入した薬剤を自己判断で使う際には、さまざまの危険があります。アルコールとの併用もよくないことです。

しかし、きちんと受診して、睡眠障害の諸要因(複数の要因が重複していることがほとんどです)を洗い直し、それらの解消に向けて医師から受けた助言を試してみて、その上で一定期間併用する睡眠薬には上記のような心配はほとんど無用です。医師の方でも、薬に依存しやすい何らかの要因を持つ人には、より慎重な処方を心がけているはずです。上述のような睡眠障害や短時間睡眠の弊害の方をしっかり予防する方がメリットは大きいのです。

現在、睡眠促進のサプリメントや抗ヒスタミン剤(風邪薬や花粉症の薬の流用)を「睡眠改善薬」として製品化したものがドラッグストアや通販で入手できますが、医師が処方する薬剤のように、科学的な方法によってその効能や副作用を検証されたものではありません。また、医療機関では、睡眠障害のタイプや個人特性に応じて多くの種類の薬剤が使い分けられています。

睡眠薬を使う際に、「これをのめばすぐに眠れる」と期待したのに、そんなふうには効かないと不安になる人もいます。睡眠薬は麻酔薬ではありませんから、のめばたちどころに眠りに落ちるといった極端な効き方はしません。服用して寝床に入ったら、ふだんと同じように力を抜いて、以前行ったことのある美しい風景をこころに思い浮かべ、あしたは何かいいことあったらいいなとぼんやり考えているうちに、知らぬ間に眠りが訪れてくれるというような効き方がふつうです。

これまで記してきたような睡眠にまつわる疑問や不安が次々に湧いてくるときには、やはり専門医の戸を叩いてみることが何よりの安全策です。