ふじみクリニック

春一番、あるいはメイ・ストーム

2023.3.16


[2023/3/5 清瀬 上清戸]

まだ4月にも入っていませんが、ときおり強い風が吹き荒れる日が訪れます。時はスギ花粉の充満する最盛期、ヒノキの花粉もそろそろ加勢してくる困った時期です。街中の駐車場に停めた車に数刻経って戻ってみると、黄色っぽい細かな粒子が、洗車したばかりの車をざらりと蔽っていました。車に乗ってもしばらくくしゃみが止まりません。

春に起こる嵐を誰か日本人がメイ・ストームと名付けました。これは春先に温帯低気圧の急速な発達によって台風並みの大風が吹き荒れる気象現象です。1954年5月上旬に北海道周辺海域で発生した暴風雨が多くのサケ・マス漁船を遭難させたために「メイ・ストーム」という和製英語が作られたということですが、通常こうした荒れた気象は4月のうちに起こることがほとんどです。

一方、「春一番」と呼ぶ大風は、もう少し早く、立春から春分までの間に日本海周辺で低気圧が発達し、太平洋側の高気圧から吹き込む南風を指しています。気象庁(気象台)では各地方(関東甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州北部、九州南部・奄美)ごとに条件を定めて認定しており、今般関東地方では3月1日に春一番が吹いたと発表されました。

すべての学校では卒業式が迫り、学生たちは進級、進学(新入学)、就職と新たなシーズンを目前にしています。中には留年や退学の憂き目を忍んでいる人もいることでしょう。社会人もまた年度変わりの大きな変化にさらされるきわどい季節です。春の大風は、これから足を踏み出そうとする人々の挑戦の鬨を象徴するものか、あるいはぼんやりと眠気がさすこの季節こそしっかりと覚醒し、身を守れと叱咤する自然の声なのでしょうか。

旅立ちの時を迎えている読者諸賢に幸運の訪れることを。